失敗から学ばせる。ダッチ流人材育成を支える大人の精神
皆さま、こんにちは!
オランダのアパレルブランドKing Louieでアルバイトを始めて、無事に4ヶ月が経ちました。
色々なことがあり、先月などは本気でもう辞めよう、今すぐ辞めたい!逃げ出したい!などと思っておりましたけれど(笑)
苦しいときも、後には笑い話になりますね。そんなリアルなエピソードを少しお話したいと思います。
人材育成。褒めることは必要か?
やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ
これは、旧日本帝国海軍第26,27代連合艦隊司令長官・元帥、山本五十六の名言の1つです。人に何かを教える時の教訓として、耳にしたことがあるのではないでしょうか?
私のバイト先のオランダのアパレルショップで経験している人材育成は、これとはほんの少し違っています。
五十六さんのこの言葉をバイト先の店長ふうに敢えて言い換えると、およそこうです。※私のオリジナルです。
やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、失敗させねば人は学ばじ
やらせてみてほめてやる日本の五十六さんと、やらせてみてもほめないオランダの店長さん。
五十六さんは、失敗は命取りとなる海軍。失敗させられないわけですし、今にも戦闘に向かうかもしれない中で人材の育成は急を要するものだったことでしょう。
同じ線の上で比べることはできませんので、いま戦闘状態にない現代のオランダでは、という前提で続けたいと思います。
人を育てる上で、ほめることは必要なのか?と考えさせられつつ、戸惑ってもいる私です。
というのは、私はこれまでずっと、怒られないようにとか、同じ注意をされないようにと、気を遣いながら仕事を覚え働いてきました。日本でもオランダでも。そしてその心の底には、ほめられることを期待していたように思います。
だから、頑張っても頑張ってもできていない部分を指摘してくる今のバイトの店長を、イヤなヤツ!と思っておりました ( ̄▽ ̄;) 言っちゃった
ですから、ほめられることや評価を期待して働いてきた私にとって、ほめないというのは私自身の根幹が揺らぐ革命的な発見だったのです。私自身の存在価値をも揺るがすものでした。
私の仕事の目標は、上司にほめられることだったのですから。これでは視野は広がらず、その先のお客様を見据えることはできないですよね。そういう姿勢でいる間は、何をしても店長の顔色をうかがうだけで、本当の成果を出すことなどできないのです。
ほめない育て方と、褒める育て方の結果
店長はめったにほめませんが、その代わりに やって見せ、やらせてやらせて、注意する を繰り返しています。とにかく、やらせて失敗させて経験させているんです。経験させた後に、間違いを指摘し次回はこうしなさい、と注意する。本人が理解し、行動が変わるまで、ひたすらにひたすらに。
それを、シフトで入れ替わるスタッフ全員に行っているのですから、すごい忍耐力ですよね!
店長不在時には電話で。今日はこのスタッフに注意して、翌日はあのスタッフに、という具合に。店長からの電話が長いのには、このようなワケもあるんです(笑)
注意される側の私はというと、事後に注意されるたびにこう思ってきました。
「そんなにネチネチ怒るなら、先に言えばよいのに!」
「できていないことばかりを探して指摘してくるなんて、窮屈!」
そう思っていた間は本当に苦しかったです。私は 言われたとおりにやる 生き方しか知りませんでしたから。言われたとおりにやっていれば、失敗したときに責任逃れができるんですよね。
イコール = 怒られない = 悪者にならない = 嫌われない
そんな姿勢でいたものですから、店長から事後に注意されるたびに責任逃れが出来なくてとても苦しかったのです。嫌われたくない気持ちが強すぎて、自分のミスを認められなかったんです。
ダッチ流育児にも共通する、失敗から学ばせる、成熟した大人の姿勢
できていないことを指摘し続ける 根底にあるのは、経験から学ぶ・学ばせるという考えです。
言い換えるならば、失敗して良い のです。ある程度仕事を覚えた私に、今は敢えて細かく指示をしないのは、店長が「大丈夫、わたしが責任を取るから、心配しないで失敗しなさい。」という成熟した精神を持ち合わせているからなのです。
失敗させて、責任を取る姿を見せる。
それを繰り返すことで、スタッフは失敗から失敗しない方法を学び、そして責任の取り方を学ぶのです。
注意されないことを目的にしていた私はつまり、責任を取れないから、いえ、責任の取り方を知らない から、ひたすら言われたとおりに動いていた、というワケです。オランダ語がネイティブでないことも実は自分を守る盾に使っていた。。。 ひえー!ショックな発見 😱
失敗から学ばせる姿勢は、オランダの育児や小学校教育にも根付いています。先生や親は敢えて先回りしませんし、細かい指示も出しません。何事も なってから考え、対応する のです。
このような姿勢は、ホームドクターや歯医者さんでも見られますよね。
例えばこどもが発熱したとき、耳垂れがしてきて、このままでは中耳炎になりそうだから、何とかして欲しくてホームドクターにアポを取るも、(アポ取りも大変なんですよねー💦 パラセタモール飲ませなさい、で終わっちゃうから(-_-;))
「耳の中は少し赤いですが、まだ炎症にはなっていません。酷くなったらまた来てください。熱と耳の痛みにはパラセタモールを飲ませてね。」と。
「いやいやいやいや 中耳炎にさせたくないから来てるんですけどーーー!!」
「ならない可能性もありますからねー、中耳炎 !(^^)! 数日して良くならなければまた来てください」。 とお医者さん。
中耳炎になる前にお薬を出して予防する、という発想が無いんですよね。
取り越し苦労をしないオランダ人は、楽しみ上手!
予防の意識が低いとも言えるオランダ。なってから何とかするオランダ。だからメンタル強いのか?!
なってから何とかするから、時間きっちりに仕事を終え充実したプライベートタイムをエンジョイしているのかも知れませんね。
片付けにハマり、色々なオーガナイザーの方のブログや書籍を読んでからの私は、備えあれば憂いなし を無意識に追及し過ぎる傾向にあったなぁ と今気が付きました。未来への備えをいかに短時間に完了させられるか? それが早ければ早いほど、そして完璧であればあるほど、プロのオーガナイザーの証なんだと勝手に思い込んでいたような?!
モノが救いになることもある。でも、オランダの精神を知るにつれて思うのは、モノよりも「助けて」と言う勇気が本当の救いになるのではないか?ということです。
備え過ぎず、心配し過ぎず、起きている事実に集中し、必要な助けを求められる。そのことで誰に何と言われようと、誰かから嫌われようと、私は私 が崩れない。
だからオランダの人たちは、楽しむときはトコトン楽しむ!という、メリハリのある人生を送っているんだな、と思いました。
皆さまはどう思いましたか?
May organizing harmonize you and your family!
本日も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
それでは、次回まで
Tot ziens!
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